アルバム解説
【構想3年】
CDが売れない時代にCDを作る意味があるのか。
その答えのひとつが、本アルバムになります。
和紙包み特殊和風ジャケット。実際は透明CD袋に入ります。通常盤も同じ形態です
2016年春1stアルバム『Ash-La La La』以降、各所のライブで修業を積む日々。その間、すでに本アルバムの曲を書いてはいたのですが、サトウトモミ(B,Vo)脱退にともないレコーディングのタイミングを失っていました。
現メンバーのほっしい(B)を迎え、「そろそろ」と思ったのは、2018年末の四谷でのライブ以降。これでバンドとしてひとつのかたちができ、2ndアルバム制作のプランが明確になったのは翌2019年春のころでした。
【アルバムコンセプトは「阿弥陀」】
前作では、仏像ショップ「イSム(イスム)」のイベント用に書いた曲や、バンド結成以前、ユニット「石舞台」で書いた曲が中心で、そのテーマは奈良のブツ旅。すると、登場する仏像は観音菩薩とか、薬師如来(の脇に立つ日光月光菩薩)などだった。
そこに完全に欠けていた存在が阿弥陀如来。
阿弥陀如来は、奈良でなく京都(平安京)に多い。そして阿弥陀如来がさかんに造られた平安京では、「末法思想」という終末論が流行していた(くわしくは検索を)。
末法の世に流行したのが阿弥陀如来で、人は仏像に「死」や「来世」を託した。
そして、大量の仏像を造るために考案されたのが「寄木造」という技法。
どんな人間も救われるという教えが広まり「悪人」というキーワードが人々の心をつかんだ。
そんな平安京の阿弥陀の時代をイメージした楽曲が、本アルバムの中核をなしている。
このほかに、びわ湖に接する長浜市での「観音検定」講演会用に書いた、びわ湖長浜観音めぐりの歌も収録。
・・・とはいえ、音自体は親しみやすいシンプルな楽曲にしてあるので、歌詞を吟味しなくても、気軽に聞き流して気楽に楽しめます。音楽なんてそんなもの。
ギターが入って以来初めてのレコーディング(前作ではDr, B, 三味線の三人編成)で、サウンドが進化しました。
2人のゲストボーカルもすばらしい仕事をしてくれています。
4人編成で進化した最新アルバムをいつでもどこでも、いつまでも楽しんでいただけたら。
【特殊和風ジャケット誕生】
当初は、配信だけにしようとも思いましたが、あるバンド仲間が手作りでカッコいいCDを出しているのを見て、なるほどと思い、CDという形も再考。
一点ずつ丁寧に。注文が入り次第、和紙に手書きします
ネットで音楽は聴けてしまう世の中でCDを売るために、CDを「モノ」としての価値を高める。しかも低コストで。それを念頭にしていた時、ちょうど自宅の引っ越し作業で押入れから出てきた、書道用具と紙と印鑑。そうでした、自分はかつて、書家として仕事をしていた時期があり、海外で展覧会、国内では筆文字の題字など書いていたのでした。安っぽい意味での手作りでなく、いちおうプロの「手仕事」で、価値を付けることができる。
世間では、人はデジタルデータだけで満足できず、”手に持つ”という価値を再認識している。CDも「手にする価値がある一点モノ」にしたい。
こうしてできたのが、今回の「完全手仕事・毛筆手書き手漉き半紙包み、特別仕様ジャケット」です。一点一点、筆跡が異なり、紙の耐久性はCD盤よりも長い(ヨレやシワが味になる)。たとえCDプレーヤーを持ってない人でも、記念品、お土産品として買うことができる商品を目指しました。
-宮澤やすみ
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